ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

日日雑記

できること、できないこと

くーが逝って以来、どうにも本を読む気になれません。本に限らず、活字全般を自分の中に摂り入れる、あるいは発する(何かを書く)ことが億劫になったままです。言葉というやつはときに、何とも重い。 このブログのタイトルは「ことばを食する」ですが、食欲…

犬は犬、我は我にて

犬は犬、我は我にて果つべきを命触(ふ)りつつ睦ぶかなしさ 平岩米吉 2020年11月19日 木曜 晴夜雨。未明、くー永眠。朝、小屋の中で冷たくなっていた。16歳5カ月。 火葬。骨になって、いまピアノの上にいる。 「ハラスのいた日々」再読。

じいじ馬鹿のクリスマス・プレゼント

わが子かわいさに、つい甘やかしてしまう。欠点が目に入らない。これを「親馬鹿」と言います。 ややもすると、親よりも甘くなるのが祖父母です。基本的に養育の責任がないので、自己反省することなくただ可愛がることができます。こうして、わたしのような「…

絵=メイキング 本=カミング・スーン

この10日ほど、司馬遼太郎さんの「国盗り物語」をこつこつ読み進んでいるのですが、なにせ文庫で全4冊の長編で、なかなか読了できません。仕事というか、細々とした在宅ワークがちょっと山場に差し掛かっているせいもあります。 近日中には読み終わりそうな…

空の高い季節に 紙の本と電子の本

先日まで昼は半袖でも過ごせましたが、もう長袖の時季です。秋は太陽の位置が低いので、窓から入る日射しが部屋の奥まで伸び、外に出れば目に映る自然がより輝いています。日の光が低いから地上がきらきらし、逆に青空は高い。 「空の高い国」。スペインとい…

昔の自分に遭遇した夜

自分が若いころ、詩を書いていたという意識は、ありません。 とぎれとぎれながら、数年の間に何編かの<詩のようなもの>を書いたのは、20代の後半でした。散文詩も含め、せいぜい10篇くらいです。 既に就職していて、文章を書くことが仕事になっていました…

心の豪遊はできる はず

10月に入るとさすがに、朝晩は半袖で寒くなりました。ちょっと気分転換しようかと、このブログ記事のカテゴリー分けを一部整理。サイドバーに「日日雑記」「掌編」の2カテゴリーを新設して、これまでごった煮だった書評以外の投稿をまとめました。 「日日雑…

赤トンボの季節 全集物は別巻が面白い? 〜「日本の詩歌」別巻 日本歌唱集

夕やけ小やけの あかとんぼ 負(お)われて見たのは いつの日か ダイエットが気になり始めた数年前から、わたしの趣味の一つになったのが田舎道のウオーキングです。歩くのは数キロから10数キロまで、様々なマイコースがいつの間にかできました。そして車で…

愛しき親友の植物たち

このブログを始めたとき、自己紹介に「本と車と酒とガーデニングが好きな昔人間です」と書きましたが、これまで本以外についてほとんど投稿してきませんでした。秋を迎え、小さな、緑のいのちが部屋に芽吹いてきたので少しだけガーデニングの報告を。興味の…

目の前の路地をきれいに お絵かきの目標

うまくいかない。というか、難しい。 こつこつやっている、お絵かきのことです。F6号という小さなキャンバスに静物画を描こうと構図を決め、事前の試し描き(エスキース)として、構図の一部にある2個のイチジクをスケッチブックにデッサンしました。 なにせ…

本のこと、そしてお絵かき

本を併読する人は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。わたしは、どちらかといえば併読派です。数日のうちに読み上げてしまう本と、1カ月から、場合によっては数カ月かけてのんびり読む一冊が同時進行。いま、のんびり読書は「現代語訳 日本書紀」(福永…

くーのこと

くーは、16歳2カ月のオスのラブラドール・レトリバーです。もちろんわたしではなく、うちの『くー』。人間でいえば、とうに100歳を超えています。大型犬は小型犬に比べて短命なので、6頭いた兄妹犬で、今も生きているのはくーだけになりました。 そして今年…

異常が<日常>になった世界

気温35度を越える猛暑は当たり前で、40度に迫る日も珍しくありません。打ち水?。そんな風流を楽しんでいたら命の危機です。外出にマスクは必需品で、しんどいなあ。そんな8月も下旬に入り、「暑さもあとしばらく」と安心できないのが近年の気候変動です。 …

わがまま人間のコンサート嫌い

わたしは音楽が嫌いでありません。在宅の仕事なのでバックによく音量を絞り気味にしてクラシックやジャズを鳴らしますし、時には夜一人で、飲みながらお気に入りのCDに耳を傾けます。 しかし、困ったことにコンサートというやつがどうも苦手なのです。もっと…

七夕とアルゲリッチ

7月7日、七夕。外から聞こえてくるのは、激しい雨の音ばかり。九州では洪水被害が甚大で、織姫と彦星が出会う天の川は厚い雲の向こうです。七夕伝説は中国から伝わり、古代からあったお祭りでした。 だから7月7日というのは本来は旧暦の日付で、明治になって…

我、CDプレーヤーを物色す

引き受けた仕事が進まず、本が読めないと前回の稿でぼやいたばかりですが、今度はCDプレーヤーが壊れました。あー、最悪!。在宅ワークなので、昔買ったステレオ・コンポでCDを流しながら、胃袋には何杯もコーヒーを流し込みつつ、仕事をするのが習慣になっ…

ホタル狩り

梅雨に入り、ホタルが舞い始めました。さすがに近所で見ることができる人はごく少ないにしても、探せば結構あちこちに観賞スポットがあって、わたしが暮らす街は車で30分も走れば行けるのです。東京、大阪のような都市部にお住まいの方は、そうもいかないの…

<断捨離>を試みた<真逆>の結果について

<断捨離>は、比較的新しい言葉ですが、あらゆる年代の人にすっかり定着した感があります。 <真逆=まぎゃく=>という新語も、20年ほど前から若い世代を中心に使われ続けているようです。実はこの言いよう、わたしのような「気持ちだけ若い」人間には、い…

レース編みと、一人称小説について

「今週は絵よりも読書をメーンにしよう!」と思っていたのですが、いやはや、やはりスケッチブックを開いて鉛筆でコツコツやる時間が多くなっています。鉛筆でレース編みを描いてみよう、などと考えたのが(いま思えば大それた考え!)そもそものまちがいで…

<スマホ>というツール そして手

この1週間、本(「逃亡者」中村文則)のページをめくるより、はるかに多くの時間、鉛筆を持ってスケッチブックを開いていました。「逃亡者」については、とても面白いので読了後に書きます。さすが中村さん、という感じで読み進めています。 デッサンは、<…

絵について 新しい寄り道

4月に入ってから、自由に使える時間は本より絵の方に傾いています。現代日本の写実絵画について、このブログでも2回取り上げてきました。昨年、諏訪敦さんの絵画作品集「どうせ何もみえない」(求龍堂)について書き、今月に入って別冊太陽「写実絵画の新…

大きな試練と小さな幸せ 新型コロナ

土曜日は本来なら大型書店に出かけ、本を物色してから、店内にあるタリーズコーヒーでのんびりなのですが、新型コロナ蔓延とともにそんな生活習慣を失ってしまいました。ただ、できる範囲での<巣ごもり>を心がけても100パーセントの<引きこもり>は不可能…

美しい五月 清水哲男

安東次男さんの「花づとめ」という本について、昨日書いたばかりですが、無性にわたしも同じことをやってみたくなりました。もっともわたしの場合、取り上げるのは短歌や俳句ではなくて、短い詩についての<解>です。 読みの深さに関して、「花づとめ」に遠…

本と青空と桜 新型コロナ禍のさなかに

庭に樹齢30年余りのソメイヨシノがあります。今日は晴れて暖かく、見上げれば青空を背景に三分咲き。蕾も膨らんでいるので、枝先まで全体が桜色に染まっています。満開に咲き誇るのは週明けのころでしょう。 移植したときは1メートルほどの幼木でしたが、わ…

華やかさと滅び 桜を書いた文学の系譜

過去になかった暖冬、というより異常気象のせいで、桜の開花が記録的な早さになりそうだと、気象会社は予想しています。早くも気になり始める桜前線。桜ほど、日本人に愛される花はないでしょう。いったいいつから、そしてなぜなのでしょうか。 奈良時代、万…

ハノイからの絵葉書

わたしがよく訪ねるpaperwalkerさんのブログ「何を読んでも何かを思いだす」に、こんな文章がありました。「うん、うん」と頷きながら読んだのは、感傷に流されることなく手紙・葉書という文化についてさらりと書いてあったからです。 ところで、旅行先から…

昔見た映画が玉突きして...

先日、たまたまフェリーニの「道」の旋律を耳にし、無性にピエロがほしくなって夜中に中古品の糸操りをネットで購入、本日わが家にやってきました。天井からぶら下がって、部屋の一角を自分のスペースにしています。 人形収集の趣味はありません。モノクロの…

「ユリイカ」の思い出

ヤフオクで本の出品を眺めていたら、1970年代の月刊誌「ユリイカ」(青土社)が100円スタートで多数出品されているのを見つけ、懐かしさに襲われました。出品者によれば、引っ越すことになり処分するよりは出品した、とありました。おそらくわたしと同年代か…

スローにめしあがれ 本を食する

わたしにとって本は、食に例えるならスローフードです。早飯食いみたいに、がつがつやっつけるのがいいわけではなく、食材や調理にこだわった手間も含めて楽しみたいと思っています。どこまで味わえるか、読み手の側の器量も試されていると考えれば、なかな…

2019年、堪能した本ベスト3

気づけば、もう大晦日。机に何冊かの本を積み上げたまま、仕事と家の整理や掃除に追われて、令和元年が終わろうとしています。なかなかブログに書くだけの読書もできませんでした。 5月末にブログを開設して以来、ご訪問いただいた皆様、ありがとうございま…