ことばを食する

本たちとの、出会い、すれ違い、言葉との恋愛。つれづれなるまま記していきます

磨かれる前の原石 〜「こちらあみ子」今村夏子

「むらさきのスカートの女」を読んで、今村夏子さんという作家がこれまでどんな作品を書いてきたのか知りたくなりました。さっそく手にしたのが、デビュー作の「こちらあみ子」(筑摩書房、2011年初版、三島由紀夫賞&太宰治賞受賞作)です。 もし「むらさき…

掲載作家一覧

掲載作家一覧(50音順)このブログで取り上げた作家さんをまとめました。今後、記事投稿とともに追加していきます。 赤いバラ 2003 <小説> 浅田次郎 「鉄道員 ぽっぽや」 あさのあつこ 「かんかん橋を渡ったら」 池井戸潤 「ノーサイド・ゲーム」 今村夏子…

「ふつう」と「あちら」の鳥獣戯画 〜「コンビニ人間」村田沙耶香

コンビニという生き生きとして、無色で、いつの間にか社会に溶け込んだ現代的な空間。そのコンビニを支える有能な1部品としてのみ、社会と正常に関わることができる36歳、未婚で処女の恵子。「コンビニ人間」(村田沙耶香、文藝春秋)を読んで、実は困ってし…

 わたし と 私 〜「むらさきのスカートの女」今村夏子

優れて斬新な世界をかたちにして、わたしたちに見せてくれるのは、この20年ほど圧倒的に女性作家が多いと思います。なぜなのかと、最新の芥川賞受賞作である「むらさきのスカートの女」(今村夏子、朝日新聞出版)を読んで考えてしまいました。 むらさきのス…

個人的災害

メーンのPCクラッシュ。本格的な投稿、ただいま困難。はあ....

傷つき、損なわれたもの 〜「私の消滅」中村文則

「私の消滅」(中村文則、文春文庫)を読んで感じたのは、「ああ、またおかしな所に連れていかれたな」という<気分>でした。かつては親しい感覚だったけれど、就職して働いて、稼いで、あくせくする歳月を長く重ねる向こう側に、置き忘れてきた遠い感覚。…

愛すなわち詩 〜「エリュアール詩集」ポール・エリュアール

翻訳で海外の詩を読むのは、じつは微妙な体験です。取説のような文章はさほど問題ないにしても、文学書、特に詩ともなれば、翻訳者の感性というフィルターを通して日本語化されるからです。しかし辞書片手にフランスの詩に立ち向かっても、ネイティブに近い…