ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

本との出会い、そして古本屋さん

週末にかけて東京に出かけ、両国、翌日の夜は銀座の端で、友人たちと飲みました。2泊して夕方の新幹線で富山駅に帰着。改札を出ると、駅の南北をつなぐ自由通路で恒例の古本市<BOOK DAY とやま>が開かれていました。年数回、地元の古本屋さんたちがこぞっ…

風景を描き始めて

このところ、本を読むより絵を描く時間が多いのです。わたしにとって「描く」とは、自分の感性とか、絵画的な効果を考えるとか、そうした類のあらゆる人為的なフィルターを排除すること。 愚直に写実です。描く対象(モチーフ)を見続けて、それが現実に存在…

日常を破壊する現代の童話 〜「砂の女」安部公房

「白雪姫」をはじめ、童話や昔話の原典をたどると実は残酷な話が多い....というのは、けっこう知られていると思います。 では、残酷な童話を現代小説として創作すればこうなるのではないか。 安部公房の「砂の女」(新潮文庫)を読んで、最初に思ったのがそ…

春の譜

久しぶりに会う約束をした友人から、待ち合わせ場所に着く直前にメッセージが入りました。 「病院にいる。すまん」 彼はある病気と長く付き合いながら仕事を続けています。事情をよく知っているから、怒る気になれないし、必要以上に心配もしません。ときど…

SF小説の古典 名作なんだけど... 〜「華氏451度」レイ・ブラッドベリ

「華氏451度」(レイ・ブラッドベリ、ハヤカワ文庫)は、1953年に書かれたディストピア(=ユートピアの反対語)小説の名作。アメリカのSFの大家、レイ・ブラッドベリの代表作といえばこれか、「火星年代記」でしょう。 書物を読むこと、所持することを禁止…

哀れ 恋心 自堕落 そして生きること 〜「山の音」川端康成

旧友を酒に誘い、夕方から早めに家を出ました。会社を離れて田舎に引っ込むと、街中に行く機会があまりありません。約束の時間まで、久しぶりに駅前の大型書店とBook・offをはしごして、荷物にならないよう1冊だけ買い、<スタバ読書>で時間を潰そうという…

美しすぎるものを焼き尽くせ 〜「金閣寺」三島由紀夫

幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。 三島由紀夫の「金閣寺」はさらりと、物語の骨格を示して始まります。1956年に雑誌連載後、単行本として刊行されたこの作品は、三島に対して懐疑的だった一部の批評家たちを黙らせ、海外でも翻訳されました。 …