ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

面白い歴史でなく、歴史の面白さ 〜新版「日本国紀」百田尚樹

百田尚樹さんという小説家による歴史本・日本通史が「日本国紀」(幻冬舎文庫、上下巻)です。百田さんを知る人がまず思い浮かべるのは、「永遠の0」や「海賊と呼ばれた男」(本屋大賞)のはず。2作ともとても面白い小説で、一気読みした人は多いと思います…

最近の<マイ・ブーム>

仕事始めの日になって、いまさらですが 明けましておめでとうございます。 個人的には比較的静かな年末年始でした。大晦日は、部屋にこもって絵を描きながら正月を迎えました。このところ空いた時間には、本を読むより油彩に集中してリフレッシュしています…

古日記、古本 〜みなさま良いお年を

俳句には季語が織り込まれている。 芭蕉の句も、雪山を眺めて隣のおじさんがひねった作も、巡る季節の一断面を詠んでいる。名随筆を遺した物理学者・寺田寅彦は、日本の春夏秋冬が見せる表情は多種多様で、これが私たちの感性を育み、文芸として発展したのが…

クリスマスイブの夜

今年のクリスマスイブはわたしにとって、単に残り1週間になった2021年のカウントダウンが始まる日です。数日前、ある手書きの自伝原稿前半がどっさり届きました。今日も半日、その原稿を読み込んでいました。 来年1月半ばまでに、必要なところに手を入れて整…

芥川君、君、先生の『こころ』を読みましたか? 〜「ミチクサ先生」伊集院静

夏目漱石の生涯を読み進むにつれ、いつの間にか自分も、同じ空気を吸い、同じ時間を生きているように思われてきます。「ミチクサ先生」(伊集院静、講談社)は、漱石を軸にしながら、正岡子規ら日本の近代文化を切り拓いた若者たちにスポットを当てた群像劇…

電 話

電話が鳴ることに、いい思い出がありません。 最前線の新聞記者だったころは24時間、たとえ明け方であろうと電話(あるころからは携帯電話)が鳴りました。事件発生か、事故か、あるいはそれ以外の何か。強大な力を持つ政治家が亡くなったとか、自然災害など…

男と女のどろどろは、ついに心理小説へ 〜「源氏物語」瀬戸内寂聴訳その7

12月にもなれば、北陸は雪の気配です。冷たい雨やみぞれを降らす雲で空は覆われ、晴れる日が少なく、やがて分厚い雪雲に変わっていきます。昼過ぎにはもう、雲の向こうの見えない日没に向かって、長い夕暮れが始まる気がするのです。 若いころはそんな鬱々と…