ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

里山に生きた人びと 〜「二人の炭焼、二人の紙漉」米丘寅吉

図書館の奥に眠っていたこの本を、これから読む人はそう多くないでしょう。何人か、せいぜい何十人かもしれません。既に絶版で、ネット検索するも古本はなかなかヒットせず。地元の図書館検索で探し、貸し出し可の1冊を見つけました。 「二人の炭焼、二人の…

実はよく分からない、事実と虚構

長い原稿を書き始めると、いつ戻れるか分からない旅をしている気持ちになります。こう表すと少々気取っているようですが、実態は、旅程は描けても、すぐに資金が尽きて途中で呻吟する貧乏旅です。 資金が尽きたなら、稼ぐしかない。具体的には追加取材を繰り…

正月に、飲んで包丁を研ぐ

面白い小説は、例外なく脇役が魅力的です。悪者であれ善人であれ、主役を生かすのは脇役ですから、彼らがくっきり描かれているほど、その対比で主役が際立ちます。 題名を忘れてしまったのですが、北方謙三さんの時代小説にちょい役で出てくる研師がいます。…