2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧
庭のキンモクセイが香り、思わず深く息を吸ってしまいます。ソメイヨシノは紅葉から落葉へ。萩は花期が終わり、名残の花びらが日差しを浴びています。 わたし、もしかすると読書以上に手間暇かけているかもしれない草木の世話。今日は風も心地よいので、拙宅…
今日読み終えた「鬼平犯科帳」7(池波正太郎、文春文庫)の巻末に、故・中島梓=小説家としてのペンネームは栗本薫=が、文体・文章について書いていました。これがなんとも興味深かった。というのも、わたしもまた池上さんの文体について、ずっと気になって…
慶応4年(=明治元年、1868)3月14日、京から攻め上がってきた官軍の大将・西郷隆盛と、幕府を代表する勝海舟が会談し、江戸城を明け渡すことで合意します。大都市江戸が戦火に焼かれる悲劇を避けた無血開城として、NHK大河ドラマなどでもハイライトになる歴…
昼から天気が崩れるという予報を見て、朝から隣の市にある美術館へ車を走らせました。車の運転は、やはり青空の下がいい。「高岡で考える西洋美術ー<ここ>と<遠く>が触れるとき」(国立西洋美術館、高岡市美術館など主催)という企画展が気になっていて…
「いい体してるよね」莉菜が言うと「ありがとうございます」と返ってくる。この女の良さは肌を出しても感情を露出させないことだ。(中略)「ないふり」は難しいものの「あるふり」が出来るのが感情だろう。余裕のない人間は、どこかで見たような言葉と表情…
単行本が文庫版になって刊行されると、たいていは巻末に批評家や同業者による「解説」が付きます。ところが「ある男」(平野啓一郎、文春文庫)には解説文がない。むむ、これは...。 わたしは結構「解説」を読んで、その本を買うか買わないか決めるのですか…
<既視感>という言葉があります。初めて訪れた地なのに、いつかどこかで、この景色を見たことがあるような。もし過去に本当に見ていたのなら、そこは初めて訪れた地ではないのだから、これはそもそも矛盾で成り立つ感覚です。 本に当てはめるなら既読感とで…