ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

麻婆豆腐 〜食の記憶・file3

 中国の四川に暮らしていた麻(まあ)婆さん。彼女が作った豆腐料理が「麻婆豆腐」のルーツだとか。30年ほど前に読んだ、中華の鉄人・陳建一さんのエッセイに書いてありました。

 その本、探したのですが、6畳しかない部屋のいったいどこに隠れているのか見つけ出せない。あまりムキになると、床が本で溢れて足の踏み場もなくなるので、あきらめました。

 エッセイには、レシピが付してありました。以来今日まで、年に数回ですが、わたしは陳建一直伝(?)の麻婆豆腐を作ります。仕事で東京に行ったときには、赤坂の四川飯店(陳さんのお店)で食べてきました。

 当時、よく昼飯を食った会社近くの中華料理店のおじいちゃん店主が、聞けば日本の中華の料理人連盟か何かの副会長だった。びっくりして、これ幸いとおじいちゃんに頼み、四川飯店の席を取ってもらったのでした。鉄人の味、やっぱり食ってみなければ!と思い。

 会社近くにあったその町中華、とっくの昔に閉店しました。年齢を考えれば、たぶん他界しただろうけれど、あのおじいちゃんが中華鍋を振った炒飯は絶品だった。単なる炒飯なのに!。それについて書くと脱線するので割愛。

 昔からわたしは、社員食堂の日替わり定食や町中の食堂。惣菜売り場の弁当か、冷凍食品でも十分に満足できる安上がりです。しかし、忙しく、ストレスが溜まるほど料理をしたくなる。こつこつ下ごしらえから始め、一つひとつの過程と思案で時間を埋めるのが楽しい。

 で、久しぶりに鉄の中華鍋を使ったのでした。麻婆豆腐。

 

 レシピの基本は陳建一さんで、ネギと松の実のトッピングはわたしのオリジナル。いや、毎回飲みながら目分量で作るので、味は一定しないんですけど。

  

 写真にない食材は豆腐に豚挽肉(=当たり前)やニンニク、山椒など。豆腐は事前に1時間くらい圧をかけて水気を抜いておきます。中華鍋にサラダ油と胡麻油をちょいとミックスし、挽肉を強火でパラパラになるまで炒めて。辛味は豆板醤が脇役、主役は山椒。舌にピリリ!、が好みです。

 最近お店で食べる麻婆豆腐、何というか「汁だく」が普通ですが、そもそもどうしてあんなに汁ができる?。豆腐の水を十分抜いてない?中華スープでも足してる??。不思議です。

 30年前に四川飯店で食べたとき、汁なんてほぼなかった。だからわたしの麻婆豆腐も、水分は食材から出たものと、アルコールを飛ばした紹興酒くらい。汁なし。

 いちおう皿に盛り付けたけれど、一口か二口食べてからご飯に乗っけて、麻婆丼にしました。もっと辛味が欲しかったので、さらに山椒をふったりして。料理中からちびちび飲んでいるので、ほろ酔いに辛さが沁みた^^。

 

 さて、これから冬になれば、魚介類が美味しいシーズン。そろそろ出刃と刺身包丁研ぐかなあー