ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

アナログ人間、カメラの進歩に脱帽する

 秋晴れに誘われ、天空の城の一つ福井県大野市の越前大野城まで、往復400キロ車を飛ばしました。

 スマホさえあれば途中の情報収集に困らず、財布代わりになり、撮影もできて、なんともすごい時代になったものだと今さらながら感心します。

 昔、わたしが新聞記者になって、まず買ったのがキャノンの一眼レフカメラでした。仕事に必須の道具だったから。給料の1カ月分ほぼ全額を費やしました。

 もちろん新聞社には、写真部にカメラマンがいます。しかし数百万円のカメラ本体とレンズ類を駆使する彼らが担当するのは、スポーツの決定的瞬間や大物政治家の記者会見シーンなど、事前セッティング可能な絶対に外せない写真が多い。

 それ以外の、紙面掲載される一般記事写真の多くは、記者が取材だけでなくカメラマンも兼ねます。そして突発的な事故や事件に遭遇した場合、そこからカメラマンに連絡していては、発生当初の写真に間に合いません。

 だから取材記者にとってカメラは、ときにペンとノート以上の必需品でした。ペンとノートがなくても目と耳があれば、記憶に焼き付けてある程度は記事で再現できます。しかし写真だけは、カメラがなければお手上げなのです。

 わたしは2台の一眼レフを、ボロボロになるまで使いました。当時、記者仲間のカメラの好みは、ニコン派(王道)とキャノン派(へそ曲がり)に分かれたのですが、わたしはキャノン派でした。

 新聞記者は普通、暗室に入って自分でフィルム現像し、印画紙に焼き付けて仕上げました。原稿はそれからです。

2台のキャノンとレンズ類。フイルムカメラ!なので、いまは埃をかぶって眠っていますww

 まあ、そんな昔話はこのへんにして、山城である大野城に息を切らして登る途中の坂道で、ちょっと魅力的なスポットを見つけました。

 スマホでポチ。いまもときどき、デジカメの一眼レフが欲しくなるのですが、スマホカメラが絞りとシャッタースピードの最適解をこんなふうに勝手に決めてくれると、やっぱり必要ないかと思ってしまうのです。

 本丸近くの坂から福井県大野市を望む

 近景と遠景の光のバランス、被写界深度をどうするか、アナログ一眼レフだとちと苦労しただろうなあ。こういうカメラの進歩をしみじみ実感できるのも、じじいの特権だと思うことにしよう。

 本当に気持ちのいい秋晴れでした。あれ、城の写真撮り忘れた。