ことばを食する

くーの、極めて私的な読書覚え書き。誰かにお薦めできると思った本を取り上げます

わがまま人間のコンサート嫌い 〜雑文

 わたしは音楽が嫌いでありません。在宅の仕事なのでバックによく音量を絞り気味にしてクラシックやジャズを鳴らしますし、時には夜一人で、飲みながらお気に入りのCDに耳を傾けます。

 しかし、困ったことにコンサートというやつがどうも苦手なのです。もっとはっきり言えば、コンサートホールの座席で過ごす時間は、ときに苦痛でさえあります。

 たぶん、ステージ上にベルリンフィルがフルで揃い、超一流指揮者がワグナーあたりを振っているのなら、かなりの確率で楽しめるのかもしれません。あるいはとんでもないピアニストの出現に立ち会うとか。

 現実としてそんなラッキーなことは、まずありません。特に田舎住まいだと。ほとんどのコンサート会場を包み込んでいるのは、ステージと聴衆が協力して作り上げる<互助会空間>です。最後はお約束のアンコール。ときには、いや、たいていは1曲でアンコールを終わらせない拍手が続きます。

 お疲れさまの意味で、最後の拍手くらいわたしも送りますが、これがなかなか終わらないので「え、今夜の演奏、そんなにアンコールが聴きたいの?」と思っているのは、わたしだけなのでしょうか。

 学生とか市民オケなどのコンサートなら、温かい<互助会空間>を少しも否定しません。でも、少なからぬお金を出して足を運ぶプロのコンサートとなると。スポーツに例えるなら「決して敗者を作らない試合」みたいなもので、しらけます。勝者と敗者が残酷なまでに決まる、プロスポーツのほうがよほど感動的です。

 昔はわたしもコンサート会場の空気を我慢し、合わせようと努力さえしてみましたが、ある時期からは押しつけられたチケットがあっても、ホールから足が遠のいてしまったのです。自分の素直な感性の反応を偽ることが、ばかばかしくなって。

 ジャズやポップスのライブにしても、会場の一体感とやらを阻害しそうでまず行きません。ジャズなどは特に、固唾をのんで開演を待ったりするものではなくて、バーボン飲みながらリラックスしていたら、ビル・エバンスみたいな澄んだピアノが響いてきて思わずグラスを傾ける手が止まる....ようなのが本来だと思うけどなあ。

 わたしはおそらく、音楽は嫌いでないけれど、<文化人的音楽社会>に馴染めない人間なのだと思います。

 馴染めないわがまま人間は、コンサートホールでさほど感動もしなかった演奏にアンコールの拍手をするより、部屋でカラヤンのワグナーやグールドのバッハその他に身を浸していた方が、よほど癒されるのです。麦焼酎ロックなどをちびちび舐めながら。

 20数年前に一度だけ、わくわくして5万円のチケットを買いました。アルゲリッチのコンサートでした。ところがアルゲリッチが例の得意技?=公演キャンセル=を繰り出して来日中止。心の底から行きたいと思ったコンサートは、あれだけでした。

 さて、CDプレーヤーが壊れたため、約30年前のソニーのプレーヤーをヤフオクで入手しました。メンテ済で、価格は当時の定価の3分の1。今夜は何を聴こうかなあ。

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