ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

こんなわけで こんな本を買う

 道路上の除雪がかなり進んだことに加え、今日は暖かかったので、車高が低い、しかも後輪駆動のマイカーでも大丈夫だろうと外出しました。車道はほぼアスファルトが露出していますが、路肩は除雪で積み上がった雪が壁になっています。一部は、2車線のうち走れるのは1車線だけの状態です。

 目的はブック・オフで本の買い出し。書店で新刊も買いますが、比率的には古本のお世話になることが多いかな。理由は単純に、安いから。ブック・オフで1時間弱書架を物色し、レジに持って行ったのが次の単行本4冊でした。

 「ベスト・エッセイ2016」(日本文芸家協会編・520円)、「火花」(又吉直樹・210円)、「掏摸(すり)」(中村文則・210円)、「盤上の向日葵」(柚月裕子・200円)。

 合わせて税込1,140円は、1冊平均300円以下。最近の単行本は1冊で2,000円前後なので、収入が厳しい身にはこの価格がありがたい。書店と出版社の不況を憂いつつも、新刊本の価格を嘆くこのごろです。これ真面目に。

f:id:ap14jt56:20210115204341j:plain

 又吉さんの「火花」は未読でした。あれほど話題になった芥川賞受賞作でベストセラー。ところが天邪鬼のわたしは、世の中の現象に逆に距離を置いて買いませんでしたw。今見れば、手垢のついていない本が210円なら「そろそろ読んでみようか」みたいな。

 「ベスト・エッセイ2016」は雑誌や新聞に掲載された数十人の文章を集めた本です。編纂委員に三浦しをんさんがいて、「帰宅したらすぐブラジャー外す派」のしをんちゃん=勝手にそう呼んでいるwが選んだエッセイなら面白かろうと。

 超短編完結なので、気ままな拾い読みにもぴったり。帰宅してさっそくページを開くと、冒頭に収録されていたのが又吉さんの芥川賞受賞後エッセイ『芥川龍之介への手紙』(「文學界」2016年9月号)でした。

 あれ、作品の前に受賞の記念エッセイの方を読んでしまった。まあ、いいか。又吉さんという人の一面が、とてもよく分かったし。ふむふむ。

 「掏摸」は、中村さんが海外で高い評価を受けるきっかけになった作品(だと思う)ですが、これも未読でした。そのうち読んでおかないとな....と、何年も先送りにしてきた作品の一つです。(そんなのがたくさんあるww)

 そして「盤上の向日葵」。柚月さんは、女性では珍しく警察小説を書くミステリー作家です。わたしは実質的なデビュー作「臨床心理」(宝島社、『このミステリーがすごい』大賞受賞作)を読み、その後警察官を主人公にした作品を少し読んで以降、ストップしています。

 個人的に警察小説といえば堂場瞬一さんや佐々木譲さん、誉田哲也さんなどです。特に堂場さんは元新聞記者として警察という独特で特殊な世界を感覚的に分かって書いてあるので、自然に入り込めます。

 しかし柚月さんの描き出す警察官像には、微妙に「こなれていない」空気を感じてしまうのです。書くにあたって懸命に警察世界を調べ、取材したのは伝わってくるけれど。ちなみに、登場する警察官の人間造形にどこか馴染めないという作家は、あえて挙げませんが柚月さんだけではありません。「盤上の向日葵」に、挽回を期待!。

 さて今日買った本、読んだ後に全てブログに書くかどうかは分かりません。書きたいと思った本は、もちろん書きます。でも。

 「ベスト・エッセイ2016」にある又吉さんの文章から、芥川龍之介の一文を孫引きで借用するなら

 読書とは、作家と読者の協力であり

 「鑑賞家は一つの作品を課題に彼自身の創作を試みるのに過ぎない」(侏儒の言葉)

 なるほど。さすがは芥川。作品がどれほど素晴らくても、わたし自身がその気にならなければ創作の試み(=ブログ)に至りません。うむ。

 それ、気ままで面倒くさがり屋であるわたしの場合、しばしばあります。w