ことばを食する

くーの、極めて私的な読書覚え書き。誰かにお薦めできると思った本を取り上げます

「ユリイカ」の思い出 〜雑文

 ヤフオクで本の出品を眺めていたら、1970年代の月刊誌「ユリイカ」(青土社)が100円スタートで多数出品されているのを見つけ、懐かしさに襲われました。出品者によれば、引っ越すことになり処分するよりは出品した、とありました。おそらくわたしと同年代か若干上の方でしよう。

 1974年の1年間、表紙を担当していたのは写真家の沢渡朔でした。高校生だったわたしは、町の本屋で「ユリイカ」を発見し、驚きに打たれました。「文学界」のような文芸誌は知っていましたが、詩と批評を中心にし、とんでもなくお洒落な表紙と編集方針を持った「ユリイカ」は、田舎の高校生にとって煌くような世界でした。

 思い返せばあの本屋さん(今もなんとか健在ですが)、田舎ではたいして売れもしない雑誌を、よくぞ店頭に置いていてくれたなあ。

f:id:ap14jt56:20200122203917j:plain

 ちなみに手元にある1974年1月号、表紙は沢渡朔の写真、特集は「ベートーヴェン ロマン主義の復興」。武満徹、吉田秀和の対談があり、寄稿は山下洋輔、高橋悠治というトップランナーのピアニスト、詩人の北村太郎、安藤元雄、そしてなんとロラン・バルトの原稿まで。まあ、バルトは依頼でなく、すでに発表されていたフランス語原稿の翻訳と推測しますが。

 特集以外では、石原吉郎が小詩集を発表し、散文では澁澤龍彦「胡桃の中の世界」の連載が続いており、吉田健一の「覚書」も7回目を迎え...。

 もう一つ、わたしが毎月楽しみにしていたのは、読者の投稿詩が載る巻末の「開放区」でした。日本各地の若い才能のせめぎ合いと、選者のコメントに、田舎のツッパリ高校生は詩という世界のリアルタイムの最前線を感じていました。


 ヤフオクの出品を見て、ずいぶん久しぶりに本棚の奥から当時の「ユリイカ」を引っ張り出してきました。ダブりがないよう確かめて、4冊に入札。さて、落札できたらいいなあ。

                     

追記 なんとか落札できました。今月は加えて鴎外全集も落札。カードの支払い考えて、来月は節約します!(予定)。