夕陽の向こうに消えていった懐かしい出版物とそれを作った編集者たちの物語です。 という冒頭の書き出しに惹かれて、つい買ってしまったのが「ベストセラー伝説」(本橋信宏、新潮新書)です。今は消えてしまったか、見る影もないけれど、かつて出版業界の最…
どっしりと、骨太な面白さで一級品です。 グリコ・森永事件。有名企業の社長を誘拐して身代金を要求し、マスコミに警察を揶揄する挑戦状を送りつけ、青酸入りのお菓子を店頭にばら撒き、しかも犯人グループは逮捕されることなく迷宮入り。40代後半以降の方に…
大切なカノジョの誕生日に、何を贈ろうか....。若いころは誰にも一つや二つ、そんな悩みに頭を痛めた思い出があるのではないでしょうか。悩んだ末に1冊の本にリボンを結んだけれど、これが思いっきり「外した」プレゼントだった。 いや、カノジョのほうはち…
島に一軒だけある本屋さんの偏屈な店主(まだアラフォー)。お好みでない本は....ポストモダン、最終戦争後の世界という設定、死者の独白、あるいはマジック・リアリズム。才気走った定石的な趣向....などなど。 文学の研究者だった妻と始めた小さな本屋です…
先日、地元の古本屋さんをのぞいて見つけ、つい買ってしまったのが「ヨオロツパの世紀末」(吉田健一、新潮社、1970年)です。タイトルからして「ヨーロッパ」ではなく「ヨオロツパ」。本のシンプルな装丁、古びた佇まいも含めてなんだかカッコいいというか…
最悪と言われる日韓関係が続く中、2019年11月期のベストセラーが発表されました。「反日種族主義 日韓危機の根源」が初登場でトップ。韓国の歴史認識の誤りを直裁に指摘し、本国で話題になった本の日本語版です。徴用工や慰安婦、竹島問題などについて、韓国…
人の心の闇、しかも生きるために自分で封印した記憶の闇であるなら、ほんとうは触れずにそっとしておくのが一番かもしれません。しかしその闇を抱えるがゆえに、狂気との瀬戸際に立つ本人が死に向かっていると分かれば、そうもいきません。苦しむのが純真で…