ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

切なく、冷たく 〜「雪国」川端康成

50歳を過ぎて「雪国」(川端康成、新潮文庫)を再読したとき、男と女を描いてこれほどまでに艶(なまめか)しい小説だったのかと、唖然としました。つんと底冷えする雪国だからよけい、一途に織り上げられていく「女」が切ないのですね。 逗留する越後湯沢の…

1位は、おしりたんていの新刊 〜2019.8.27 週間ランキング

強いですね、おしりたんていシリーズ。新刊の「ラッキーキャットは だれの て に!」が出れば、たちまちベストセラーのトップ。今回も「ププッ」っと、事件を解決するのでしょう。幼児向けの、読み聞かせに適したシリーズなので、おならの音が「おしりたんて…

SF史に衝撃の1冊 中国現代文学から 〜「三体」劉慈欣

書店の新刊本や文庫本コーナーをぶらぶらして、何冊か手に取り、食指は動くけれど買う決意のつかないことがよくあります。「あれ、まだ読み終わってないし」と、机の上の2、3冊を思い出したりして。「でも、どうせいつか買うなら、今買っておこうか」と思い…

2位に「天気の子」 アニメノベライズが強い 〜2019.8.20 週間ランキング

落ちないですね「大家さんと僕 これから」 。4週連続のトップです。9位の「劇場版 ONE PIECE STAMPEDE」は初のベスト10入り。2位「天気の子」の新海誠さんは、あの大ヒットアニメ映画『君の名は。』を制作した監督です。映画は新海さん自ら…

新しい階級社会の出現 今とは 〜「上級国民/下級国民」橘玲

今週のベストセラー総合9位(2019.8.14集計)に入っていて、読んでみたのが「上級国民/下級国民」(橘玲=たちばな・あきら=、小学館新書)です。事前知識で興味をひかれたのですが、ちょっと参ったのが刺激的な言葉を連ねたカバー。「何だよこれ..」と、本を…

だから、傷つく。血を流す。深く生々しく 〜「かんかん橋を渡ったら」あさのあつこ

中国地方の静かな山あいにある、寂れた温泉町。流れる一本の川に、人しか通れない石の橋が架かっています。町の子どもたちはみんな、その橋を渡って川向こうの小学校に通い、昔、花嫁はその橋を越えて町へ嫁いできました。橋は、過酷で、ときに華やかに見え…

分断社会 実感していますか? 〜2019.8.14 週間ランキング

トップの「大家さんと僕 これから」以下、4位までの順位に変動はありません。9位 に橘玲(たちばな・あきら)さんの「上級国民/下級国民」が初のランクインです。 「上級国民/下級国民」は、分断が進む日本社会を分析した小学館新書です。バブルのころ「1…