トップの「大家さんと僕 これから」以下、4位までの順位に変動はありません。9位 に橘玲(たちばな・あきら)さんの「上級国民/下級国民」が初のランクインです。
「上級国民/下級国民」は、分断が進む日本社会を分析した小学館新書です。バブルのころ「1億総中流」と言われた日本社会は、中流層が消滅しつつあり、多数の下流層とごく一部の上流層への分断が進みつつあります。こうした新書がベストセラー入りするのは、分断社会の実感を多くの人が持っているからでしょう。
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週間ベストセラー<総合>2019年8月14日調べ TOHAN (価格は税抜き)
1位「大家さんと僕 これから」 矢部太郎 新潮社 1,100円
2位「時間の花束 Bouquet du temps」 三浦百惠 鷲沢玲子 特別協力 日本ヴォーグ社 2,000円
3位 「おもしろい!進化のふしぎ もっとざんねんないきもの事典」 今泉忠明監修 高橋書店 980円
4位「愛すべき人がいて」 小松成美 幻冬舎 1,400円
5位 「一切なりゆき 樹木希林のことば」 樹木希林 文藝春秋 800円
6位 「おしりたんてい かいとうと ねらわれた はなよめ」 トロル 作・絵 ポプラ社 980円
7位 「夏の騎士」 百田尚樹 新潮社 1,400円
8位「むらさきのスカートの女」 今村夏子 朝日新聞出版 1,300円
9位 「上級国民/下級国民」 橘 玲 小学館 820円
10位「デスマーチからはじまる異世界狂想曲(17)」 愛七ひろ KADOKAWA 1,200円
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むかし、私は1週間あまりインドの地方都市を回ったことがありました。実感したのは「平均年収」という指標が、なんの意味もなさない国だということでした。
極めて限られた数の大金持ちがいます。少数のお金持ちもいます。そして圧倒的多数の貧しい人びとがいます。無視できない数のスラムもあり、暮らす人に現金収入はほぼゼロに違いありません。そんな国民の平均年収を割り出しても、その数値に該当する中間層はほぼ存在しないか、いても少数です。つまり平均年収から、国民のポピュラーな姿を想定することが不可能な国でした。
現代の日本、いや日本だけでなくアメリカなどの先進国でも、次第に平均年収という指標が空疎化していると思います。富めるもの、貧しいもの、中間がいない社会。分断は、経済的な二極分化に限りません。生き方の分断であり、考え方の分断でもあります。「上級国民/下級国民」は、そこにどんな分析のメスを入れているのか、興味を覚えます。
10位に初登場の「デスマーチからはじまる異世界狂想曲(17)」は、人気のオンライン小説シリーズです。
最後に「上級国民/下級国民」の概要をe-honから転載します。
要旨 |
「下級国民」を待ち受けるのはn共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。ベストセラー『言ってはいけない』の著者があぶり出す、世界レベルで急速に進行する分断の正体。 |
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目次 |
1 「下級国民」の誕生(平成で起きたこと令和で起きること) |