昨夜、10月6日は仲秋の名月でした。
知人によると、関東地方は雲で見えなかったそうですが、わたしが住む地はまだ日没前の夕方から、丸いお月様がぽっかり東の空に浮かんでいました。
すっかり暗くなった午後7時半過ぎ、庭に初心者用の天体望遠鏡を持ち出しました。何年か前にamazonで買った安物で、普段は物置に眠っています。
小学生のころ夜空が好きで、親に無理を言って天体望遠鏡を買ってもらいました。宇宙の遠くへ連れて行ってくれる「魔法の道具」のように思えたのです。初めて土星の環を生で見た感動...。
いま思えば、わたしの両親はともに、学びたくても許されない環境に育ちました。だから、貧しくても長男のわたしには、少々無理して願いをかなえてくれたのでしょう。昭和40年ごろで確か4000円、天体望遠鏡のラインナップで一番安かったけれど、わが家にとって高価だったその望遠鏡は、いつ、どこにいってしまったのか。
不思議なことに、現役を退くと子どものころの好奇心や興味が再び芽吹いてきます。で、初心者用の天体望遠鏡をまた、今度は自分で買ったのですが、近年埃をかぶっています。ときには活躍してもらわなければ。
この時期、庭にはまだ蚊がいます。虫除けスプレーで防備して、天体望遠鏡を月に向けました。接眼レンズにスマホを連結するアクセサリーを付けて。iPhone16のカメラで撮影。うさぎのお宿はどのあたりか、お月様に戻ったかぐや姫の宮殿はどこだろう。

わたしたちが見ているのは、確か1秒か2秒遅れの月だったはず。光速をもってしても、月の姿(=光)が地球に届くまでそれくらいのタイムラグが生じるからです。昼の太陽も、実は数分前の姿。
お伽話も、宇宙の広さも、にんげんはちっぽけだけれど頭の中の想像力の広がりは果てしないなあ。

