ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

白い絶壁 セブン・シスターズ 〜ロンドンぶらある記⑨

 特に風の強い日ではなかったのですが、イギリスは天候が変わりやすく、夏でも晴れの30分後には雲に覆われ、雨風が吹き付けます。波が白く砕けて打ち寄せ、ヒース(荒地)の草が風になびく。セブン・シスターズを訪ねたのはそんな日でした。

 ロンドンから南へ特急に乗り、海辺のブライトン駅まで1時間ほど。さらにバスで1時間半、ひなびたバス停をいくつも経て、海岸沿いを揺られました。海の向こうはフランスです。

 

 バス停は、ここに暮らす人たちの営みが垣間見えるようでした。少し海岸線から陸に入って、ようやく目的地。下車するとビジターセンターの案内板がありますが、特段立派な施設はありません。トイレと、パブと、売店を兼ねたパン屋さん。ここからヒース(荒地)の道を歩いて海を目指すのです。

 まずパブでビール!..と思ったけれど、歩く先にトイレはないと気づいてがまんしました。サンドイッチと飲み物を買ってリュックに詰め、バスが通う道路を渡って海の方向へ。といっても10分や20分で海岸は見えてきません。ひたすらイギリスらしい見晴らしの荒涼とした草地や川を眺めながら歩き、すれ違う人たちと軽く挨拶して、なんだか平地の登山道みたい。

 ようやく海が見えるところに着くと、馬がいました。

 

 海岸に出て横を振り向けば、絶壁が視界に迫ってきます。この絶壁の連なりがセブン・シスターズ。イギリス海峡で、フランス側に向けてそそり立つ断崖です。

 

 

 断崖の上に立たねばならぬ。しかし、いよいよ本物の<登山道>で、途中2回ほど足が止まりました。ふだんウオーキングで鍛えているつもりの足腰と心肺機能など、老いての気休めに過ぎないと痛感。はあ〜。ではなく、肩で息をして、ぜいぜい。

 頑張って登りきれば、また絶景が見渡せます。断崖からの転落防止柵など、どこにもありません。度胸があれば縁で下を覗くこともできそうでしたが、わたしにはとても無理でした。風は強いし、想像しただけで足元からぞわぞわ感が。高所恐怖症なのです。

 縁から20メートル以上離れた草地の段差に腰を下ろして、売店で買ったサンドイッチを食べました。縁に近づく人を見ているだけで、自分の足が痺れたようになり、胸を締め付けられながら。これでは食べ物もおちおち喉を通らないので、横を向くと、若い女の子の二人組が写真撮影していました。

 いま見ても怖いわ、これ。

 一帯は景勝地として国立公園になっています。わたしが辿ったのは、幾つもあるルートのほんの一部でした。

 帰路、乗り換えのブライトンで街に出て、人気のラーメン店「GOEMON」へ。在住日本人の間で評判のお店だと聞いていたので、ちょっと期待していました。店員も若い日本のお姉さんだったので言葉の心配もありませんでした。ここでようやくビールにありつき、人気No.1メニューを注文。

 濃厚なスープはまずまず。しかし、麺が。中華麺というより、なんだか蕎麦みたいな食感で....うーん、ちょっとがっかりでした。

 さて、サッカーファンなら、ブライトンはお馴染みの地名のはず。プレミアリーグ、ブライトンのホームで、イギリスでも名が通った三苫薫選手がいます。ちなみに、わたしが応援する大リーグの大谷翔平選手はだれも知りません。有名なのは三苫と、テニスの大坂なおみ。イギリスにはウインブルドンがあるしね。

 ブライトンは訪れた翌日にホームゲームが予定されていて、ちょっと心動いたのですが、宿泊はあきらめて夕方の特急でロンドンに帰りました。三苫選手は来年のワールドカップの日本代表に当確だろうから、そのとき応援します!。