ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

2019年、堪能した本ベスト3

 気づけば、もう大晦日。机に何冊かの本を積み上げたまま、仕事と家の整理や掃除に追われて、令和元年が終わろうとしています。なかなかブログに書くだけの読書もできませんでした。

 5月末にブログを開設して以来、ご訪問いただいた皆様、ありがとうございました。街中の小さな古本屋のような、定食屋のような、ささやかなサイトですが、令和2年もよろしくお願いします。

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 <コラムについて>

 週1本、新聞に短いコラムを書いています。年末年始を挟むため、来年の第一週分まで年内に出稿する必要があって、予想以上に手間取ってしまい、なかなかブログにまで手が回らない最近でした。

 コラムというのは、すんなりテーマが決まれば、その段階で漠然と全体がつかめるので、あとは主に文章技術の試行錯誤で何とかなります。困るのは、何を書くか、出発点のテーマが決まらないとき。締め切りは容赦なくやってくるので、ある時点で確信がないままテーマを置いて書き始めますが、土台のしっかりしない家づくりと同じで、苦労する割にはいい仕事になりません。

 個人的には、出来の悪い仕事でどんなレベルを維持できるかが大切だと思っています。スポーツに例えるなら、絶好調のときは誰でもいい試合ができます。そうでないときに、どんなプレーをするかで実力が測れるのと同じです。

 偉そうに書きましたが、私の場合は滅多にいい仕事ができないので、そちらの方がよほど問題なのですが...。

 <今年の3冊、+α>

 今年読んだ本で、何が一番心に残っているか考えてみました。

 「これ!」という1冊はすぐに思い浮かばないけれど、ベスト3を挙げるとすれば原田マハさんの「風神雷神」、村田沙耶香さん「コンビニ人間」、そして平野啓一郎さん「マチネの終わりに」(順不同)でしょうか。あっ、北方謙三さんの「チンギス紀」もあった!

 各作品の味わいを料理に例えるなら、「風神雷神」は女性シェフが手腕をふるったダイナミックなイタリアン、「コンビニ人間」は辛さが心地よく鼻に抜けるスープカレー、「マチネの終わりに」は時間をかけて一流シェフがしっかり仕上げたのシチュー。どれも一人ひとりの個性を、たっぷり味わわせてもらいました。

 

 「チンギス紀」は 、羊1頭まるごとに様々な香料や塩をふり、ゆっくり焼き上げる大陸料理(?、そんなのがあるのかどうか分かりませんが)です。脂が滴るところをかぶりつきたくなる感じかな。

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 新年が皆様にとって、素晴らしい年になりますように。