ことばを食する

くーの、極めて私的な読書覚え書き。誰かにお薦めできると思った本を取り上げます

前のめりに語り尽くす 本の数々 〜「本屋さんで待ちあわせ」三浦しをん

 ページをめくりながら何回笑い、なるほど、なるほどとうなずき、何回スッキリしたか、いちいち数えていなかったので分かりません。世の中、何であれ、同じ趣味を持つ人がその趣味についてディープに語った本には惹かれるものです。

 「本屋さんで待ちあわせ」(三浦しをん、だいわ文庫)は、読書という極めて個人的な楽しみを、徹底的に個人の楽しみとして披瀝した1冊です。これを書評集と言うべきか、エッセイと言うべきか。いや、そんなジャンル分けなんて、読んで楽しければどーでもいいのだけれど。

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 小説、ノンフィクション、事典、少女漫画、新書....などなど、「たいてい、何か読みながら」生きている三浦さん。取り上げた本にベストセラーや名作はほとんどありません。「ほとんど」とは、当然ゼロではありません。例えばドストエフスキー。

 まあそれはいいとして、ようやく読んだ「罪と罰」は......、傑作だった!(ドヤ)ドヤるところをまちがえている。傑作であることなど、すでに全人類が知っている。

 いや、予想以上にエンタメとして面白い作品で、驚いた。もっと眉間に皺が寄っているような小説なのかと思ってました。(中略...主人公について)しょっちゅう気絶したり寝てたりしてて、長時間睡眠派の私としては、そこはものすごく共感できた。

 いやー、わたしにはこれっぽっちもない視点でした^^;。この後、江戸時代、文楽の登場人物と比較したりして、想像もしていなかった扉が開いた感じというか、痛快。全編を通じてこの「軽み(かろみ)」の陰のスルドさが楽しい。

 残る「ほとんど」の部分を占めるのは、わたしは読んでいないか、または存在さえ知らなかった本です。「あー、読んでみたい」と思った本が何冊かあり、今月の小遣いの残高と、何冊かの本の値段を足し算して眉間に皺を寄せる始末です。

 三浦さんの「舟を編む」に「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」という文章があります。これに習えば、読書とは基本的に、言葉の大海に一人、小舟で漕ぎ出す行いです。チームで力を合わせることはないし(読書会のような集まりはありますが)、大船に乗って誰かに行先を任せることもできません。

 人の数だけ、航海は様々です。本について書かれた本は、だから書いた本人の姿が浮かび上がってきます。しをんちゃん(某所の後輩と分かり、勝手にファーストネーム「ちゃん」づけww)やるなあ。さすが!。ちなみに三浦さん、四捨五入すれば四十の独身、帰るとすぐにブラジャー外す派、と本人が書いてました。