ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

2018、2017年 ベストセラー回顧

 2018年から遡って、順次、各年ベストセラーを振り返ります。年間ベストセラーのデータは、TOHANが1990年以降を公開しているので利用させてもらいます。詳しいデータを知りたい場合は、そちらを参照してください。1980年代以前のデータもネット上にいろいろありますが、出典が不明だったりで、どうするかまだ決めていません。その前に、まず30年前までたどり着くことが目標ですね。記事には正確を期すつもりですが、もし誤りやタイプミスなどあれば、コメントやメールでご指摘頂ければ幸いです。さて、第1回目。

 

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2018年(平成30年)

主な出来事 平昌五輪で羽生結弦など金4(2月) 日大アメフト部危険タックル問題(5月) 西日本豪雨で死者220人超(7月)日産ゴーン会長逮捕(11月)

【総合】

①「漫画 君たちはどう生きるか」吉野源三郎原作、羽賀翔一画

②「モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット」佐久間健一

③「大家さんと僕」矢部太郎

④「ざんねんないきもの事典」(続、続々の2冊含む)今泉忠明監修

⑤「信仰の法 地球神エル・カンターレとは」大川隆法

【単行本 文芸書】

①「おらおらでひとりいぐも」若竹千佐子

②「かがみの孤城」辻村深月

③「コーヒーが冷めないうちに」川口俊和

④「下町ロケット ゴースト」「同 ヤタガラス」池井戸潤

⑤「青くて痛くて脆い」住野よる

 

 総合1位の「漫画 君たちはどう生きるか」は、昭和12年に刊行された、少年の成長物語を漫画化したもの。原作の「君たちはどう生きるか」も総合7位にランクインしています。戦前の本が、なぜこれほどヒットしたのか。

 私は読んでいないので全く踏み込めませんが、今の時代だからこそ訴えかける何かがあるのだと思います。お読みになった方、そのあたりをコメント欄に一言でも書き込んで頂ければ幸いです。

 3位の「大家さんと僕」は、ほっこり、ほのぼの、まだ記憶に新しい。総合1位と3位が漫画本だったんですね。

 文芸書1位「おらおらでひとりいぐも」、2位の「かがみの孤城」は、総合の11、12位です。文芸書は総合ベスト10に一冊も入りませんでした。

 この年の主な出来事を見ても、スポーツでいい話題と悪い話題が世間を騒がせましたね。相変わらず自然災害があり、そして夏の猛暑が忘れられません。

 

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2017年(平成29年) 

主な出来事 トランプ政権発足(1月) 森友学園・加計学園問題が国会揺るがす 小林麻央さん死去(6月) 100メートルで桐生祥秀9秒98(9月)

【総合】

①「九十歳。何がめでたい」佐藤愛子

②「伝道の法 人生の『真実』に目覚める時」大川隆法

③「蜜蜂と遠雷」恩田陸

④「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」ケント・ギルバート

⑤「ざんねんないきもの辞典」(続を含む)今泉忠明監修

【単行本 文芸書】

①「蜜蜂と遠雷」恩田陸

②「騎士団長殺し」第1部、第2部 村上春樹

③「コーヒーが冷めないうちに」川口俊和

④「君の膵臓を食べたい」住野よる

⑤「劇場」又吉直樹

 

 文芸書トップの「蜜蜂と遠雷」が総合でも3位に食い込みました。直木賞、本屋大賞ダブル受賞作。音楽をあれほど豊かに、多彩に言語化小説は他にありません。ピアノコンクールの世界に引き込まれ、読みながら感嘆したことを思い出します。

 村上春樹さんの「騎士団長殺し」は、総合では7位に入っています。村上さんと言えば、毎年のようにノーベル文学賞が騒がれますが、どうなるのかなあ。

 総合でトップ5には入りませんでしたが、8位に「応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱」(呉座勇一)があります。なぜかこの年、歴史のターニングポイントとして応仁の乱が注目されましたね。

 それにしても小林麻央さんの死去や桐生選手の10秒切りって、もう一昨年のことなのか。