ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

2026-07-01から1ヶ月間の記事一覧

末期の生と死があなたに託されたら 〜「俺たちは神じゃない」中山祐次郎

「俺たちは神じゃない」(新潮文庫)は、現役外科医でもある中山祐次郎さんによる医療小説です。麻布中央病院を舞台にし、腕の良い外科医2人を軸に人間模様を描いていきます。文庫に書き下ろしたシリーズ第1作で、いま第3作まで新潮文庫にあります。 日々患…

本の「スピン」についてのお話 〜「成瀬は信じた道をいく」宮島未奈

「スピン」と聞いて、何を連想するでしょう。 ふつうは<回転>でしょうか。野球であれば「あのピッチャーはストレートのスピン量がすごいから、ボールがホップする」とか。車好きの走り屋なら「スピンターンを決めるぜ!」とか。ゴルファーだと「バックスピ…

インドに至る壮絶な軌跡 〜「天路の旅人」沢木耕太郎

一人の男の、長い過酷な旅を描いた記録です。1918(大正7)年、山口県の山あいの農村に生まれた男は、太平洋戦争末期、軍の密偵として中国の奥地へ旅立ちました。自分の足だけを頼りに、雪山の峠や砂漠を越え、飢えと匪賊の脅威に耐え、チベットを経てインド…