ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

色とりどりの宝石たち 〜「巻頭随筆 百年の百選」文藝春秋編

命まで賭けた女(おなご)てこれかいな 無名の人の、知られざる1句。川柳の句集「有夫恋」が異例の大ベストセラーになった時実新子さんが、平成6(1994)年4月号の月刊誌「文藝春秋」に書いたエッセイで、取り上げている1句です。わたしは思わず笑ってしまい…

芝と語り合う

昨日は午後から、庭の芝生に目土(めつち)を入れて日が暮れました。目土というのは、夏にかけて芝生が葉を広げる前に、砂をまく作業です。「芽土」ともいい、前年伸びた茎が新たな砂に浅く埋まることで発芽が促され、毎年若くて密な状態を維持することがで…

チャットGPT 話しかけてHALを思い出した

チャットGPT。最近、やたらニュースで取り上げられるAI(人工知能)の会話機能で、アメリカの「OpenAI」という会社が開発して無償提供しています。論文やレポート、読書感想文など、チャットGPTに「書いて!」と頼めば即座に応えてくれるので、大学などでも…

1年後に花を買う その時きみは 〜「平場の月」朝倉かすみ

50歳。半世紀も生きてきたのだから、波乱や悲しみ、喜びの経験はいくつも胸にしまってある。だれだってそうだろう。もう、冒険を試みるような年齢ではない。日々の小さな感情の起伏をつなげて年月が過ぎ、やがてそう遠くないいつか、老いた自分を静かに見つ…