ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

2021-11-05から1日間の記事一覧

生きることの哀しみ 温かさ 〜「泥の河」「蛍川」宮本輝 

デビュー作には作家のすべてがあると言うけれど、「蛍川・泥の河」(宮本輝、新潮文庫)を読んで確かにその通りだと思いました。 「泥の河」という短い小説は、昭和30年の大阪の場末を舞台に、一人の男のあっけなくも悲惨な死から物語が始まります。のっけか…