ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

2019-06-23から1日間の記事一覧

卒塔婆小町、老いて無残 〜「近代能楽集」三島由紀夫

千年も昔の夕暮れどき、闇が迫る京の都の外れ、百歳(ももとせ)とも見える乞食の老婆が、朽ちかけた卒塔婆(そとうば・そとば)にぐったり腰掛けています。顔は皺に覆われ、ボロをまとった姿からは垢と脂の酸い臭いが漂ってきます。 たまたま通りかかった高…