ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

晴れ着と油彩画

絵の額装は、手塩にかけて育てた子に、晴れ着を着せるような気持ちになります。 子の出来の良し悪しは横に置いて、こんな色合いが似合うだろうか、デザインはどんなのがいいか、できれば安く...。というわけで晴れ着、ではなく油彩額を昨年末からネットで物…

今宵、古老の話に耳を傾けませんか 〜「忘れられた日本人」宮本常一

文学作品を評するのであれば秀作、あるいは傑作という言葉があります。しかし「忘れられた日本人」(宮本常一、岩波文庫)は、フィールドワークに徹した民俗学の仕事。最初の1ページから惹き込まれ、読み終えて、これは紛れもない名著だと思いました。 昭和1…

翻訳家と剣客小説

常盤新平(1931ー2013)という名前を聞いて、「ああ」と、思い当たる人はそう多くないと思います。アメリカのペーパーバックスを読み漁った若い時代を描いた自伝的小説「遠いアメリカ」で、1986年に直木賞を受賞。しかし、小説は余技でした。 わたしにとって…

地震

うちは震度5強。本が落ち、水槽の水が勢いよくこぼれました。幸いにも本棚が倒れることはありませんでした。津波警報が出て、家の中を確認する間もなく車で丘陵目指したけれど、幹線道路は渋滞。あせりました。 夜9時過ぎまで避難していて、とりあえず帰宅。…

雨の大晦日

朝9時ごろ起床し、窓から外を見れば雨。大晦日といえば雪の記憶しかないけれど、いつの間にか年末年始に雪を踏む年が少なくなってしまった。子供のころは炭火の炬燵に首までもぐり込み、ブラウン管のテレビで年末特番を見ながら、まだもらってもいないお年玉…

弥生時代は歴史小説たり得るか 〜「鬼道の女王 卑弥呼」黒岩重吾

ややタイミングが遅れましたが、クリスマスイブ。今年もあちこちの家でケーキにナイフが入っただろうなあ、そして不運な何百人は、高島屋の崩れたケーキの画像をSNSに投稿。あれは一流デパートとして、事後対応も含めひどい。 同じころ、わたしはビールを飲…

コーヒーを淹れて「BRUTUS」を読んだ

マガジンハウスから出ている「BRUTUS」という雑誌があって、最新号の特集が「理想の本棚」。わたしは雑誌類をめったに買わないのですが、表紙に惹かれて少し立ち読みし、戻すことなくレジへ向かいました。 面白そう。この特集、本好きの一人としては、立ち読…